【Mia san】2020J1リーグ第6節vs横浜FC(H)【Mia】

どうも「強い方の横浜」ことマリノスのサポーター、お市です。

今回のタイトルに入れた「Mia san Mia」は、ドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンの標語で、直訳すると「我らは我ら」という意味です。自分たちのアイデンティティを強く持つ彼ららしいモットーですね。このゲームではマリノスも横浜FCも自分たちのカラーを強く打ち出した好ゲームと言えます。

ま、勝ったのはウチですけどね!

スコアだけ見ると大勝なんですが、試合を観た方は、あんまり手放しで喜べる感じではなかったのではないかと思います。それはSofaScore.comのスタッツからも読み解けます。(緑がホームのマリノス、青がアウェイの横浜FCです)

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70%近い保持率を誇ったこれまでと違い、ほとんどイーブンのポゼッション。シュートも2桁見舞われていますし、バーやポストに2回も助けられています(Hit woodwork)。
反面、これまで10回前後が関の山だったインターセプト(Interceptions)が倍以上の23回に増加。枠内シュートは再開後最高の6本を記録しています。
これらの事実でも、お互いシュートを打ち合う相当な殴り合いだったことが想像できますが、そんな中勝負を分けたのはなんだったのか、そしてここ数試合奮わなかったマリノスはどう修正を加えたのかを軸に振り返ってみましょう。

横浜ダービーのレビュー、はっじまーるよー。

 

下平監督の選択と最後尾からの対抗策

スタメンはこちら。

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マリノスは去年の5/13、アウェイC大阪戦以来となる1アンカー+2インサイドハーフ(IH)の4-1-4-1を採用。マルコスの相方に選ばれたのは、ここ数試合ベンチ入りすらままならなかった仙頭啓矢だった。

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ゲームの序盤、特に前半の飲水タイムまでは、誠に遺憾ながら横浜FCペースだった。彼らはマリノスのビルドアップを瓦解させるべく、ボールを持っていない時は身近な選手を決めてとらえるマンツーマン気味にプレー。(ピッチ全体で行うからオールコートマンツーとも)

そしてボールを持つ時には、これまでの対戦相手よりも自陣でのビルドアップで短いパスを多用。自分たちのサッカーでマリノスのプレッシングに真っ向から挑んだといえる。
横浜FCはこのマンツーマンの守備でマリノスの攻撃を停滞させ、勇気あるポゼッションでマリノスのプレスをかいくぐりまくった。

そんな中希望の糸口になっていたのが、守護神の梶川だった。もちろん斉藤光毅の決定機を防いだ仕事ぶりも見事だったが、もっとも目を引いたのがビルドアップでの貢献だった。
SofaScore.comの梶川のスタッツについて、連敗を記録してしまった鹿島戦、FC東京戦と比較してみよう。一番左から横浜FC戦、鹿島戦、FC東京戦のスタッツ。

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成功したパス(Acc passes)は鹿島戦と変わらず33本だが、試みたパスは42本と最多を記録している。そしてロングボール(Long balls)はFC東京戦の5倍となる15本を記録している。

ここで梶川のパスを図にすると、以下のようになる。左が前半、右が後半のパス。矢印の先の数字はパスの受け手となった選手の背番号。(DAZNで目視できた分のみ記録しているので必ずしもSofaScoreの数値と同じにはなりません)

目を引くのが、前半でのNo.41仙頭へのパスの多さだ。より近いポジションであるはずのSBやアンカーの喜田よりも多くボールを受けている。しかもそれが間近で受けることもあれば、遠くに立ってロングパスを引き出すこともあり、プレスをかけようとする相手の目線を変える一助となっている。

また後半になると相手のプレスが緩んできたのもあり、より多方向にパスが伸びている。ボールを支配して相手陣地に押し込んでいる時には、ゴール前から出てセンターサークル付近からパスを出したりもしている。

もちろんパスの成功数は鹿島戦とは変わらないし、遠い距離のパスを出してもすぐ回収されてまたゴール前への侵入を許す危険なケースもあった。だが、プレスをかけている選手の頭上をパスが超えていけば、プレスにいった選手は反転して自陣へ戻らなければいけなくなる。
「コンパクトな陣形を保って前からプレスを実施する」というマリノス対策へ、梶川のキックが1つの解決策になるかもしれない。それを引き出すためにも、WGや中盤の選手にも梶川からのパスコースを担保する動きが求められていくだろう。

 

エクストリーム・プレッシングの成否

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うまくいかなかった連戦のゲームとの大きな違いの1つとして、前線からのプレスが機能したことが挙げられる。ただ「機能した」といってもどれだけ上手くいったのか。数字を使って定量的に評価する手立てとして、PPDA(Passes Allowed Per Defensive Action)がある。
これは「自陣で許した相手のパス本数÷ピッチ全体での自軍の守備アクション」で計測できる値で、高ければ高いほど相手に自陣でプレーさせてしまったことを指す。「ゲームを支配する」のがモットーのマリノスとしては、低ければ低いほど良しな値だ。

横浜ダービーではどうだったのかを見てみよう。下線つきの値がPPDA。

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ちなみに鹿島戦は最低1.11、最大1.91で推移し、1を下回ることはなかった。何より、自陣で許したパスが20本以上の時間帯が3回(0~10分、20~30分、45~55分)と、自陣でのプレーを余儀なくされたことが伺える。
こうした比較からも、前回よりうまく相手のパス回しを押し込めたことがおわかりいただけるかと思う。

では、なぜマリノスはプレスを改善できたのか。一言でまとめるならば「距離感」ではなかろうか。
下は、うまく相手のパスの方向性を限定できた前半34分のケースを図式化したもの。(DAZNでいうと下田さんの「仲川左足ィイイイイ!」のちょっと後)

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順番としては、

  1. 小林にエジとテルがアプローチ
    (この時テルは小林と手塚の間に立つ)
  2. 小林から松尾に出たらりゅーたが松尾に詰める
    (この時りゅーたは松尾と手塚の間に立つ)
  3. 松尾は斉藤に出す他ないのでパスするが斉藤はまきとが潰す

この下線太字でわざとらしく強調した間に立つ、というところを言い換えると、パスコースを消すことに繋がる。ひとつずつパスコースを消すことで、相手の選択肢を減らし、後ろで備える選手が迷いなく思い切ってタックルにいけるようになったのだ。またこの一連の流れでクリリンが、サイドチェンジのできる佐藤を捕まえ続けたのも大きかった。
ボールが奪われたとしてもこの状態であれば、もう一度奪還するための算段がつきやすい。いわば取り返しのつく状態でのミスであり、タカが鹿島戦に言った「失い方が“いい時”」だったと思う。

だがこれは(特に小池が松尾と手塚を両方見ているとことか)サイドの狭い位置で密集が作れているからこそなせる技だ。現地に赴いたヒロさんが指摘しているように、ボールを持った時のDFラインの押し上げが遅いと、ボールを失った時にこうした密集が作れず再奪取もしにくい。

90分走り続けるマリノスのサッカーだが、その走りの中にも「絶対に緩めてはいけない」ポイントはあり、そのうちの1つがラインの押し上げだと思う。裏に蹴らせない状態に持っていくためにも、カウンターに置かれた選手(今回なら斉藤とか)を睨みながらこまめに上下動を繰り返さなければいけない。これぞまさに「言うは易く行うは難し」だ。
この判断と上下動を妨げる疲労という敵は、対策を繰り返す目の前の相手よりも厄介かもしれない。

 

できて当然をやらなくちゃ

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ゲームはマリノスの1点リードで折り返したが、ビハインドでも横浜FCは前半と同じようにファイティングポーズを崩さなかった。まさに「殴り合い宇宙」の様相を呈してきたダービーだったが、連戦の疲れやじめっと暑い日本の夏に苦しんだのは、マリノスだけではなかった。マリノスの流動的なポジショニングにマンマークで対抗した横浜FC、とりわけその中盤はガス欠に苦しむことになった。

その証拠が、隙間が広がった中盤3センターの間だった。

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実際はこの図ほど露骨に空いてはいなかっただろう。おそらく1人分のスペースもないくらいだ。しかし中盤に入る選手、とりわけ背番号9にとってはそのくらいのスペースで十分だった。次第にクリリンを筆頭とする中盤付近でただよう選手が捕まえにくくなった横浜FCだが、大外のレーンにいるWBも、度重なる上下動のあとのマリノスのSBとIHのポジションチェンジに苦しんだように見えた。

こうしたスペースが各所にできて、サイドでの1対1勝率が上がり易くなった中、トリコロールのアタッカー達はきちんと仕事を果たした。

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我々外野のサッカーヲタクは、ゴールを指して「相手の足が止まっているからこれくらいは当然」などと言いがちだが、この「当然」を実施して結果に繋げることはとても難しい。
この状況下でウィンガーとして攻撃を完遂させてほしいという指揮官や周囲の期待を、裏切らずに応えてみせた攻撃陣は、それでも賞賛に値すると思う。

 

おわりに

総評としては、果敢にがっぷり四つを挑んできた横浜FCに対し、過去の連敗の反省を活かしながら対応できたゲームだったと思います。もちろん前半は相手のゲームだったので、そこで失点していればスコアは…

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梶川の助けこそあれどビルドアップに苦しんだので課題は残りますが、これまでと違ってきっちり勝ち点3をとった上で反省できます。
次節は去年徹底的に対策されて苦い思いをしたアウェイ札幌。間違いなく楽なゲームにはならないと思いますが、今日の収穫と課題を糧に前進していってほしいと思います。

個人的にはその期待はチーム全体だけでなく、渓太にもしています。
既報通りであれば、次節がマリノスの選手として過ごす最後のゲームとなるでしょう。もちろんひとまずは目の前の札幌戦でもチームを勝たせる働きを期待します。ですが、選手人生の大きなターニングポイントです。マリノスで得た課題や収穫を糧にして、次なるステージに前進し、いつも通り我々の期待の斜め上へ突き抜けて欲しいですね。

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