【ウノゼロやっぱ】2019年J1リーグ第10節vs広島(A)○0-1【つ令和】

どうも、「早野乙」系マリサポのお市です。タイトルで滑った気がしますが、こ令和(これは)芸風なので悪しからず。

とりあえず結果とスタッツから振り返ってみましょう。

チームとして、どころかJ1にとっての令和初ゴール。その後広島側に2発くらい令和弾があったとの話だけど、ゴールライン・テクノロジーもVARも未実装ゆえ真偽はわからず。どっちも映像で見返すと気付くけど、ジャッジが肉眼で捉えるのは至難だと思う。
ゴールライン・テクノロジーには設備投資費とか、VARには担当できる審判の人手不足とか、導入に向けて様々問題はあるんだろうけど、真剣に議論すべきなのかもしれない。

そしてスタッツ(出典はおなじみ、SofaScore.com)はこちら。緑がホームのサンフレッチェ、青がアウェイのマリノス。

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左側のシュート数(Total shots)については広島がマリノスの4倍打っていることがわかる。その内訳を見ると、エリア内から打ったシュート(Shots inside box)が11本と失点の危険性が高いわりに、枠内シュート(Shots on target)は2本で決定機(Big chances)は1回。また右側の数値に目を移すと、マリノス側のクリア(Clearances)が広島の9倍もの36回と「耐え忍んだゲーム」であることが窺い知れる。

本来「ゲームを支配して勝つアタッキング・フットボール」をモットーとして掲げるマリノスとしては、まったく理想とかけ離れたゲームだったと言わざるを得ない。「そんなゲームでも勝ちに繋げたことに意義があるんですよ!」と熱弁したいのは山々だが、やはり「なぜ支配できず苦しいゲームになってしまったのか」という点は無視できない。(などと偉そうなこと言ってますけど、どうせ最後にはいつも通りやたらめったら褒めちぎります)

ってことで、令和最初のゲームが「つ令和」なゲームになってしまった理由を中心に、広島戦のレビューはっじまーるよー

 

前半:反省を活かすマリノス、カウンターで刺す広島

1:それでもマリノスは急がない

スタメンは以下の通り。

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LSBは「案外声が高い」でおなじみ和田拓也がレンタル移籍の条項により広島戦は出場不可ということで、誰が務めるかと思ったら「ブンちゃん」ことティーラトン 。大分戦では守備に難があったりポジショニングがフリーダムすぎたりしたため、ブンちゃんの起用を不安視するマリサポも少なからずいたと思う。
けれどマリノスのCB2人+アンカーに対して、広島は1トップ2シャドーということで数的同数。マンマークされたらCB(およびGK)からのボールの運び出しが困難が予想される。
となるとプレス回避のためにサイドにボールを回した時、右利きの広瀬や松原を左で起用していたら、パスをする時にスムーズに左足を使える左利きの選手のが好ましい。左利きである上に純粋なパスの精度にも長けるブンちゃんは、ビルドアップのキーマンとして見込まれて起用されたのではないだろうか。

キックオフ直後から、ゲームは戦前の予想通り「ボールを持つマリノス、構える広島」の構図。先述のとおり数的同数になった後方ビルド部隊を支援するべく、左IHを務める天野がSBの位置まで降りてきたり、喜田の横に位置したりと気忙しく動く。この動きに対して広島はボランチ&シャドーでマークを受け渡して対応。追いかけてスペースを空けないよう我慢するようにした。

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広島の1トップ+2シャドー、そしてボランチは「誰かがDFラインまで降りて行ったらパスコースを潰す」「センターサークルあたりに入って来たら人を潰す」という形でマリノスのボール回しに対応していたように見える。どこのクラブもマリノス対策として行う「中を締めてサイドに回避させる」というアクションだが、広島の場合は後者の「人を潰す」時に対象者を自分の担当ゾーンを捨ててでも追い回すのが印象的だった。そのしつこさは「お姉さんカットモデルどっすか」と近寄ってくる原宿のお兄ちゃんのようだった。

この「DFラインにいたらあまりプレッシャーはない」「中央に入るとすごく食いついてくる」という広島の特性をスカウティングで事前に知っていたか、「大分式釣り野伏せ(別名:片野坂の罠)」の反省が働いたかは知らないが、この日のマリノスは無理に狭いコースを使って縦パスを狙ったりはせず、自分たちの位置をくるくる変えながら、ボールを回した。

決して縦に急ぎすぎないこのボール回しは、端から見ると「何をチンタラやってるんじゃい」と焦れったくなるだろうが、おそらくやっている方もなかなか焦れったいと思う。(そこを焦れちゃって我慢できずに縦に突っ込んだ結果が”片野坂の罠”だろうし)
DAZNでゲームを見返してみると、いろんなところでコミュニケーションが行われているのが見てとれる。CFを務めるクリリンことマルコス・ジュニオールは「落ち着け」と言わんばかりのボディランゲージをしたり、CBの畠中は中盤の選手の位置を身振り手振りで修正している。
焦れることなく声をかけあいながら協力して相手を動かし、確実に攻められるスペースを作り出そうとした点に、マリノスのポゼッションの成長の跡が垣間見えた。

 

2:ロングカウンター。突き進め柏、止まらない柏(※好文の話です)

…と言いつつ、結構カウンターは食らってしまっていた。マリノスのポゼッションは確かに焦れずにボールを前進させられていたのだが、シュートに至ることはなかった。
以下は「トランジションマップ」と呼ばれる、位置ごとのボール奪取回数を可視化したもの。(集計にはSplyza Teamsを使わせていただきました。とはいえ効率的にできなかったので私のGWはこれで潰えました。)

青字がマリノスのボール奪取(パスカット、1対1で勝利、クリア)の回数、紫字が広島のボール奪取の回数。中央付近で広島が多くボールを奪取できていたし、自陣ペナルティエリア前では左右中央満遍なくボールを奪い取れている。反対にゴール前でのボール奪取は少ないが、かといってマリノスのシュート本数は前半で1本。これはマリノスが多くシュートを打って攻撃を完結しているのではなく、単純にその手前で潰されていると捉えた方が良さそうだ。

IMG_5588

 

この図から、広島は中盤で多くボールを奪っていたし、マリノスは相手ゴールに至る前で広島の守備網に引っかかってしまっていたことがわかる。ボールを奪うや否や攻めに転じた広島だが、その守備→攻撃の切り替え(いわゆるポジティブ・トランジション。略してポジトラ)がなかなか止められなかった。その理由は以下の2つだと思う。

  1. 距離感近く2タッチ以内で回し、マリノスの手薄なスペースを狙えた
  2. 柏好文

1個目は文字であれこれ言う前に図にしてみる。下は前半12分、ゴール前まで運ばれたカウンターを図にしたもの。

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RWBサロモンソン、シャドーの柴崎、降りて来たCF渡の順に2タッチ以内でパスを回され、最後はサロモンソンに戻され、マリノス側から見て左サイドのスペースを突かれたシーン。守備時に距離感を近くして守っている広島だからこそ、ボールを奪った後はそのまま距離感を近くしてパスが回せる。2タッチ以内のパス回しで相手のプレスをいなし、手薄なところを襲撃する。これがきっと城福監督のいう「ムービングフットボール」なんだろうし、広島が安定して勝てている理由なんじゃなかろうか。

とはいえ、開幕戦から連綿と続く「前プレがハマらない」というマリノスの課題がまたしてもあらわになってしまった格好だ。
ボールを奪われた後、攻撃→守備の切り替え(いわゆるネガティブ・トランジション。略してネガトラ)をマリノスは行うわけだが、そのスピードが少しでも遅れると、また距離感が遠いと、上手くハメられずにこのケースのようにボールを運ばれてしまう。
練習で脇からモフモフやパパスに煽られながら超高速の鳥かごをやっているマリノスなので、切り替えの意識は日々向上されているだろう。だが「飛び出すべきか今自分が立つスペースを守るべきか」といった判断の精度を上げられるよう、位置どりやプレスの役割を整理していくべきかもしれない。

2個目はもはや説明不要だろうが、「俺らのトラウマ」LWB柏好文である。対面の広瀬を緩急1つでかわし切るドリブルは、前半の早い段階から脅威だった。縦のスペースを狙うだけでなく、渡が下がっていてゴール前に人がいないと見るやカットインをかましてくる。りくとにとってはかなり試される試合だったのではないだろうか。

自陣でボールを奪い次第、2タッチ以内の素早いテンポでボールを動かし、左サイドで対面の選手を抜ける柏にボールを渡す。パスカットもままならず1対1でも劣勢だったマリノスは、広島のポジトラを止められず、カウンターを数多く受けてしまった。

 

3:「速攻」というマリノスの隠し武器

と、なかなかボールを上手くゴール前まで運べなかったマリノスだが、ゴールは奪えた。そのゴールが仲川のJ1令和初ゴールである。

このゴールの元は、パギこと朴一圭が右サイドタッチライン際、ハーフウェイライン付近に向けてロングボールを入れたことに遡る。右サイドで空中戦をやるのは小兵のテルだったため競り負けてしまったが、そのこぼれ球を拾った広島の選手は、プレスにいく前線と中盤で乖離があったため距離が遠くなり出しどころが全くなかった。そのため結果的にボールはマリノスのもとに渡った。

パギは恐らく両チームの選手の位置どりを加味して、テルが競り負けてもマリノスがボールを回収できることを知って蹴ったんだろう。パギ、恐ろしい子…!
というパギの策略もあり、綺麗に繋いだわけではないものの、ものの見事にボールを確保したマリノス。カウンターの成否を分けたのは、先述した広島のお株を奪うかのような、2タッチ以内のパス回しだった。

もちろん最後ゴールを決めたテルの技術は素晴らしい。トラップで相手を置き去りにしつつ、キーパーをあっさりかわして流し込む辺りは流石だ。けれど、それだけではこのゴールは生まれなかった。
ボールが走らないピッチを加味した強さのパスをクリリンに出した三好の技術、クリリンがパスを出す前に相手のCBを2人ピン留めしてテルが走り込む「花道」を作り出した渓太の機転、そして絶妙のタイミングでパスを入れたクリリンのセンス…テルの上手さを含めた「個の力」の総決算によって、この令和初ゴールは生み出された。

今や「マリノスのサッカー」といえば「後方からショートパスを丁寧に繋いで崩すサッカー」として広く認知されている。しかし、このゴールのような前線の選手の「個の力」や「質」で完結させる速攻もマリノスの武器といえる。パギがやや雑にも見えるアバウトなボールを蹴り出したことをキッカケとしたこのゴールは、速攻がマリノスの隠し武器であることの証明かもしれない。

 

後半:アンジェマリノス式ウノゼロ術(震え声)

1:前から奪いにいく広島と引くマリノス

後半を振り返る前に、後半の「トランジションマップ」がどうなっていたかを示したい。

IMG_5588のコピー.JPG

いきなり両軍ゴール前でのボール奪取回数がぐっと増えているが、これは両軍のゴール前までボールが行き来するオープンな殴り合いが繰り広げられた証だ。

また、もう1つ印象的な点として、広島側のみ敵陣(マリノス側)でのボール奪取回数が増えていることも挙げられる。この増加は広島のプレス開始位置が上がったことに起因している。

ただ、前プレ地獄になる前にはマリノスなりの勝ち逃げパターンが、ギリギリ見えない青年誌のグラビアみたいな絶妙な感じで見え隠れしていた。

やることは実にスィンプル(松木安太郎的発音)

  • 低い位置でも焦れずにビビらずにボールを保持する
  • ボール保持時DFラインはハーフウェイライン付近に設定
  • ボランチまでプレスに来させたらボランチの背後に立つミヨッシへ通す
  • 相手がDFラインを上げてきたら裏を狙う

対角線フィードを使ってないけど、相手を自陣に引き込んで強制的にスペースを作る、という点は「片野坂の罠」に近い。後方の選手たちが確実にボールを繋げるという質に対する自信があればこそのプランだと思う。
去年はリードした後のゲーム運びに問題があったマリノスだが、畠中しんちゃんを筆頭にボール保持のできるメンバーが揃った今年は、ボールを回して耐え忍びながらスペースを空けさせるプランを使えるようになってきたのかもしれない。下の画像は後半2分、広島が前がかりになって空いたスペースを三好が突いたケース。

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アウェイ浦和戦で見せた「4-1-4-1で構えながらプレスかけてハーフウェーライン付近で奪ってカウンター」という形とはまた別のプランかもしれない。

 

2:この「堅守」求めている俺がいるぅ〜

とはいえ、「片野坂の罠」ならぬ「アンジェの罠」はまだ改善の余地があると思う。自陣に引き込んで跳ね返すまではいいとしても、そこからボールを運び出すのが難しかった。とりわけ、喜田、天野が最終ラインの手前まで下がって守備に参加した時は、三好へのコースが消されると途端に苦しくなってしまった。

こうしたボールの預け先不足問題への苦肉の策として、CFのマルコスが下がってボールを受けに来てはくれたり、遠藤渓太が低い位置で受けてドリブルで持ち運ぶ動きを見せてくれるなど、工夫はしていた。ただ、こうして自陣にいる人数が増えてくると、「引き込んでいる」というより「引きこもっている」ようになってしまい、徐々に湘南戦のトラウマのような「なかなかボールが前に進まないんだぜ」状態に陥っていく。

ボス以下口を揃えて「後半はボールを持てなかった」と言っていたように、前プレを受けつつも繋ぎ切るための位置取り、または人の配置の設計が今後チームとして求められるのではなかろうか。

一方、オープンな展開にしつつ、高い位置でもボールを奪えるようになってきた広島。最後ゴールを割るための手段が無かった。そこでクロス爆撃機の色合いの強かったサロモンソンに替えて、より切れ込んでいくハイネルを、プレス役として貢献した野津田に替えてアンダー世代のゲームメイカーである松本を投入。終いには「2018年マリノストラウマオブザイヤー」があれば確実にノミネートしただろうパトリックを入れて、ドラクエ並みの「ガンガンいこうぜ」を展開してきた。

ハイネルはガンガンペナ脇侵入してくるし、柏は最後の最後まで怖すぎるし…という状況で、徐々に「2点目を取る」という案に見切りをつけたか、マリノスベンチは裏抜け役として大津を入れたあと、立て続けに扇原や松原といった守備のカードを切ってきた。

 「支配するアタッキング・フットボール」を信奉するボスとしてはこれこそまさしく苦肉の策だったかもしれないが、交代で入った選手たちは自らの役割をそれぞれに完遂してくれた(まあ大津パイセンはオフサイド引っかかりまくってたけど)。

最終的にはチアゴ・畠中のCBコンビを中心にクリアで耐え忍びながら時計の針を進められた…ってあれ、この胃薬を飲みながら耐える懐かしい感じって、3、4年前のボンバーを軸にやってた「堅守」じゃない?

そう思って見てみると、喜田や松原や天野、扇原といった堅守のマリノスを知る面々が声をかけてチームを締めていた。それに在籍年数の若い面々も応える。WGに移ったりくとは苦しみ続けた柏のドリブルを止めたり、ブンちゃんはスライドしてスペースを欠かさず埋めたりと「守備に難あり」と言われたメンバーが体を張って、絶えずスペースや人を検知しては潰していた。後半30分辺りから脳内でGReeeeNの「キセキ」が流れ始めるエモーショナルな展開だった。

「堅守」を知る選手たちがリーダーシップをとりつつ、新加入選手たちもそれに応えていく。こうしてチームの伝統は残っていくんだろう。よくマリノスは「堅守」を捨てて攻撃を取ったと言われるし、私自身も「堅守は過去や!3-2はウノゼロ(©︎みぎさん)や!」と言ったが、実はまだチームに息づいているんじゃないか、と考え直すキッカケになったゲームだった。(リーグ屈指の失点数叩き出してるけど)

おわりに

最後ポエムになっちゃうのは仕様です。

さて今回は「速攻」でゴールを奪い、「堅守」で逃げ切った「ウノゼロ」のゲームで、ちょっと懐かしい感じだったかとは思います。

ただ、そうした結果に至る方法は昔とは違いますし、「片野坂の罠」のアレンジとか他にも色々な狙いを試みた結果だと思うんですね。

ゲームの内容としてはボスや選手含め納得できるものでは無かったでしょうし、観ている側ももっといい内容を求めたくなるゲームでした。ただ、試行錯誤をしながら課題を検出し、それでいて広島のように手堅く練度の高いチームを相手に勝ち点3を積み上げられたのは、すごく大きいです。

課題を残しつつも連勝を達成したマリノス。これからどのような手を打ってくるのか、勝ちをどこまで伸ばせるのか…というところで今回はここまで。読んでくださりありがとうございました!

P.S.

倍速再生すると柏のドリブルの怖さが3割増して半べそになりました。

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